九州工業大学宇宙環境技術ラボラトリーでは、株式会社アドニクス、原田精機株式会社と共同で超小型衛星「KITSUNE」の開発を行っております。

「KITSUNE」は6U (約10cm×20cm×30cm)と呼ばれるサイズのキューブサットです。
「KITSUNE」衛星の特徴は、全体の半分を占める大きなカメラとそのレンズです。

この大きなカメラは5m級の解像度を持ち、校庭に作った人文字などを撮影する予定です。
また、この高解像度の写真を地上にデータ伝送するために、アマチュア無線のCバンド(5.6GHz帯)を使用し、従来よりも非常に速い最大20Mbpsでの通信が可能な通信機を搭載予定です。

この信号は九工大の直径2.4mパラボラアンテナで受信予定です。
また、一般の皆さまでも衛星放送受信用の直径60cmのパラボラアンテナを少々改造したものを用意すれば、宇宙から撮影した写真を1Mbps程度で受信できるようにする予定です。

宇宙環境技術ラボラトリーでは、数多くの超小型人工衛星を開発してきており、学術機関としては2012年以降で世界一の運用衛星数を誇ります。

これまで開発した衛星の多くではニッケル水素バッテリーを使用していましたが、今回の「KITSUNE」では従来よりも多くの電力を消費することがわかりましたので、Li-Ionバッテリーの使用を検討してきました。

Li-Ionバッテリーを人工衛星に使用するためには高い安全性と信頼性が要求されます。
そのため、国内で信頼できるバッテリーの購入ルートを探しておりましたところ、Antenna1stを見つけました。

衛星の開発は現在、ミッション機器の試作と評価を行っている段階です。Antenna1st様より、ご提供いただいたLi-Ionバッテリーは安全性の評価のため、これから宇宙環境技術ラボラトリーにて充放電試験、真空試験、振動試験などを徹底的に行っていく予定です。

Li-Ionバッテリーを含む全ての衛星搭載機器は数多くの試験を乗り越えて、宇宙へ送り出されます。試練を乗り越え、皆様に宇宙から撮影した鮮明な写真をお届けできますよう、チーム一丸となって開発を行っています。